三菱商事は、天然ガスや金属資源から食品、自動車、電力、都市開発まで手がける日本の代表的な総合商社です。2016年度に累進配当(原則として配当を減らさず、増やしていく方針)を導入し、配当と自己株式取得を続けてきました。
2026年3月期の当期利益は約8,000億円で、前の期より減りました。2027年3月期は約1.1兆円への回復を見込み、年間配当も125円(前期は110円)に引き上げる予定です。この記事では、数字と公式の資料から良い面と気になる面を整理します。
三菱商事
高配当株スコアシート|2026年3月期の決算まで反映
株価(2026/10/16 終値)
4,726円
+52(+1.11%) 時価総額 17.54兆円
配当利回り(予)
2.64%
1株配当 125円(2027年3月期 会社予想)
PER(予)
15.74倍
過去10年 約5.9〜26.8倍
PBR(実)
1.83倍
過去10年 約0.7〜2.1倍
配当性向(予)
41.6%
2027年3月期 会社予想(当サイト算出)
ROE(予)
11.65%
予想EPS ÷ 直近BPS
営業利益率(前期)
2.2%
2026年3月期
自己資本比率
39.1%
2026年3月期
配当の記録
10期連続増配
10年の減配 0回・今期も増配予想
株主優待
株主優待制度はありません(配当で還元する方針)。
データ: IR BANK・株探・Yahoo!ファイナンス(取得 2026/10/17、株価は毎営業日更新)。PER・配当利回りは会社予想、PBR は直近の決算の BPS で計算。
三菱商事はどんな会社?【事業内容】
総合商社とは、モノの売買だけでなく、資源の開発、事業への投資、会社の経営参加までを幅広く行う会社です。三菱商事は産業ごとに事業グループを分け、エネルギー・素材・食品・モビリティ・電力・都市開発などに投資しています。
2026年3月期の決算では、ローソンを持分法適用会社にした際の再評価益や、豪州の原料炭事業の売却益が前の期にあったため、その反動で当期利益が減りました。一方で、持分法による投資損益(出資先の利益のうち持分を取り込んだもの)は増えています。
商社の利益は、資源の価格、為替、出資先の業績に左右されます。分散しているぶん、ひとつの事業の不振が全体に及ぶ影響を抑えやすい面があります。
ひと目でわかる強みと注意点
ここが強み
- 10期連続増配と累進配当の方針で、配当の見通しが立てやすい
- エネルギーから食品、モビリティ、電力、都市開発まで事業が広く、分散が効いている
- 配当だけでなく、自己株式取得も機動的に行う姿勢がある
ここに注意
- 資源価格や為替で利益が大きく動き、2026年3月期は減益だった
- 株価が大きく上がり、過去に比べると割安度が下がっている
- 株主優待はなく、還元は配当と自己株式取得だけ
10年の推移チャート
株価は各決算期末の終値(分割調整済み)。最後の列は今期の会社予想と現在の株価。
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| 年度 | 1株配当(円) | PER(倍) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 26.67 | 8.66 |
| 2018/03 | 36.67 | 8.10 |
| 2019/03 | 41.67 | 8.26 |
| 2020/03 | 44 | 6.57 |
| 2021/03 | 44.67 | 26.79 |
| 2022/03 | 50 | 7.25 |
| 2023/03 | 60 | 5.87 |
| 2024/03 | 70 | 15.19 |
| 2025/03 | 100 | 11.08 |
| 2026/03 | 110 | 25.21 |
| 今期予 | 125予 | 15.74 |
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| 年度 | 株価(円) |
|---|---|
| 2017/03 | 802 |
| 2018/03 | 954 |
| 2019/03 | 1,025 |
| 2020/03 | 764 |
| 2021/03 | 1,043 |
| 2022/03 | 1,534 |
| 2023/03 | 1,584 |
| 2024/03 | 3,495 |
| 2025/03 | 2,627 |
| 2026/03 | 5,317 |
| 今期予 | 4,726予 |
配当利回りは各決算期末の株価で計算。
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| 年度 | 配当性向(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 28.80 | 3.33 |
| 2018/03 | 31.10 | 3.84 |
| 2019/03 | 33.60 | 4.07 |
| 2020/03 | 37.90 | 5.76 |
| 2021/03 | 114.70 | 4.28 |
| 2022/03 | 23.60 | 3.26 |
| 2023/03 | 22.20 | 3.79 |
| 2024/03 | — | 2.00 |
| 2025/03 | 42.20 | 3.81 |
| 2026/03 | 52.20 | 2.07 |
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| 年度 | EPS(円) | 営業利益率(%) | ROE(%) |
|---|---|---|---|
| 2017/03 | 92.60 | 6.16 | 8.95 |
| 2018/03 | 118 | 6.60 | 10.51 |
| 2019/03 | 124 | 3.63 | 10.37 |
| 2020/03 | 116 | 2.42 | 10.24 |
| 2021/03 | 38.95 | 1.61 | 3.07 |
| 2022/03 | 212 | 4.16 | 13.63 |
| 2023/03 | 270 | 4.42 | 14.64 |
| 2024/03 | 230 | 3.41 | 10.66 |
| 2025/03 | 237 | 1.99 | 10.15 |
| 2026/03 | 211 | 2.21 | 8.48 |
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| 年度 | 売上高(円) | 営業利益(円) |
|---|---|---|
| 2017/03 | — | 3,960億円 |
| 2018/03 | — | 4,994億円 |
| 2019/03 | — | 5,845億円 |
| 2020/03 | — | 3,579億円 |
| 2021/03 | — | 2,074億円 |
| 2022/03 | — | 7,187億円 |
| 2023/03 | — | 9,524億円 |
| 2024/03 | — | 6,674億円 |
| 2025/03 | — | 3,711億円 |
| 2026/03 | — | 4,186億円 |
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| 年度 | BPS(円) | 自己資本比率(%) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 1,034 | 31.20 |
| 2018/03 | 1,121 | 33.30 |
| 2019/03 | 1,196 | 34.50 |
| 2020/03 | 1,174 | 29.00 |
| 2021/03 | 1,268 | 30.10 |
| 2022/03 | 1,553 | 31.40 |
| 2023/03 | 1,882 | 36.40 |
| 2024/03 | 2,207 | 38.60 |
| 2025/03 | 2,355 | 43.60 |
| 2026/03 | 2,578 | 39.10 |
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| 年度 | 営業CF(円) | 投資CF(円) | フリーCF(円) |
|---|---|---|---|
| 2017/03 | 5,800億円 | -1,800億円 | 4,000億円 |
| 2018/03 | 7,400億円 | -3,200億円 | 4,200億円 |
| 2019/03 | 6,500億円 | -2,700億円 | 3,800億円 |
| 2020/03 | 8,500億円 | -5,000億円 | 3,500億円 |
| 2021/03 | 1.02兆円 | -3,600億円 | 6,600億円 |
| 2022/03 | 1.06兆円 | -1,700億円 | 8,900億円 |
| 2023/03 | 1.93兆円 | -1,800億円 | 1.75兆円 |
| 2024/03 | 1.35兆円 | -2,100億円 | 1.14兆円 |
| 2025/03 | 1.66兆円 | -2,700億円 | 1.38兆円 |
| 2026/03 | 1.49兆円 | -4,500億円 | 1.04兆円 |
出典: IR BANK(決算短信・有価証券報告書のデータ)・Yahoo!ファイナンス。配当は分割を調整した値。
三菱商事(8058)の総合評価
業績・財務・キャッシュフロー
銘柄データでは、当期利益は2023年3月期が約1.18兆円、2024年3月期が約9,600億円、2025年3月期が約9,500億円、2026年3月期が約8,000億円です。資源価格の高かった時期から水準が下がっています。
ROE(自己資本利益率=株主のお金でどれだけ稼いだか)は2023年3月期の14.6%から、2026年3月期は8.5%へ下がりました。利益が減ったことが主な理由です。
フリーキャッシュフロー(営業CFと投資CFの合計)は2026年3月期に約1.04兆円のプラスでした。会社は2027年3月期の当期利益を約1.1兆円と予想しており、回復の度合いを決算で確かめたいところです。
割安性(PER・PBR・MIX係数)
現在の株価・PER・PBR・MIX係数(PER×PBR。数字が小さいほど割安とされる目安)は、記事上部のスコアシートを参照してください。
過去の年度末の値を見ると、PERは2023年3月期の5.87倍から2026年3月期の25.21倍まで、PBRは0.65倍から2.06倍まで動いています。株価が大きく上がったことで、数年前と同じ割安感では見られなくなった点は押さえておきたいところです。
商社は景気や資源価格で利益が大きく動くため、1年分のPERだけでなく、数年の利益の平均で見る方法もあります。
配当・株主還元
年間配当は2022年3月期の50円から2026年3月期の110円へ増えました。銘柄データ(株式分割調整後)で数えると、2017年3月期から2026年3月期まで10期連続で増配しています。記念配当・特別配当は含めず、通常の年間配当で数えています。
公式ページでは、2016年度に累進配当を導入し、配当の増額と機動的な自己株式取得を続けてきたと説明しています。この方針は経営戦略2027でも続けるとされています。
株主優待制度は、公式FAQで「ございません」と案内されています。株主への還元は配当と自己株式取得が中心です。
株主還元方針(会社の発表から)
累進配当を基本とし、機動的に自己株式を取得する(公式ページ。経営戦略2027でも継続)
注意点・リスク
商社共通の注意点として、資源価格・為替・出資先の事業環境の変化で、利益が年度ごとに大きく動きます。2026年3月期のように、一時的な利益が剥落すると減益になる年もあります。
増配を続けると、利益が落ちた年に配当性向(利益のうち配当に回す割合)が高くなります。2021年3月期は配当性向が114.7%でした。累進配当を守るため、業績悪化時の余裕がどれだけあるかは確認したい点です。
事業が広いぶん、個別の投資先の減損や撤退が決算に響くこともあります。決算短信で減損の有無を見るとよいでしょう。
同業他社との比較
| 銘柄 | 配当利回り | PER | PBR | ROE | 自己資本比率 | スコア |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 三菱商事(8058) | 2.64% | 15.7倍 | 1.83倍 | 11.7% | 39.1% | B 59 |
| 伊藤忠商事(8001) | 1.93% | 16.8倍 | 2.42倍 | 14.4% | 39.4% | B 53 |
| 三井物産(8031) | 2.80% | 15.4倍 | 1.62倍 | 10.5% | 42.1% | B 57 |
PER・配当利回りは会社予想、ROE は予想 EPS ÷ 直近 BPS(サイトに記事のない銘柄は直近の実績)。スコアは記事のある銘柄だけ。同業のごく一部との比較です。
配当シミュレーション
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初期値の増配率は過去5年の1株配当の伸び(年率10%、上限10%)。税金(約20%)は引いた手取りで計算し、株価は変わらないものとします。将来の配当を約束するものではありません。
決算でチェックしたいポイント
- 2027年3月期の当期利益が約1.1兆円の予想に近づいているか
- 累進配当を保ったまま、自己株式取得の規模と時期がどう発表されるか
- 持分法による投資損益や、投資先の減損の有無
次の決算発表予定: 2026年11月4日(株探より)
三菱商事のよくある質問
Q三菱商事に株主優待はありますか。
ありません。公式サイトのFAQで「株主優待制度はありますか」の問いに「ございません」と案内されています(2026年10月に確認)。
Q何期連続で増配していますか。
銘柄データ(株式分割調整後)で数えると、2017年3月期から2026年3月期まで10期連続です。記念配当・特別配当は含めていません。2027年3月期も125円への増配予定です。
Q累進配当とは何ですか。
原則として配当を減らさず、維持するか増やしていく方針です。ただし将来の配当を約束するものではなく、業績が大きく悪化したときの扱いは会社の発表を確認する必要があります。
Q2026年3月期はなぜ減益だったのですか。
前の期に、ローソンを持分法適用会社にした際の再評価益と、豪州の原料炭事業の売却益があり、その反動が出たためと説明されています。持分法による投資損益は増えています。
くろこの視点
三菱商事は、分散した事業と累進配当の組み合わせが特徴です。10期連続の増配に加え、2027年3月期は利益の回復と15円の増配を予想しており、還元に前向きな姿勢が数字に出ています。
一方で、利益は資源価格や一時的な損益に大きく左右されます。2026年3月期の減益のように、前の期の大きな益が消えると利益は下がります。株価の水準はスコアシートで確認し、数年単位の利益で見るのがよさそうです。
次の決算で、利益が回復の計画どおりに進んでいるか、配当の増額が続くかを見たいと思います。最終的な判断はご自身でお願いします。
