日本製鉄は、国内最大手の鉄鋼メーカーです。2025年にU.S. Steelを買収し、粗鋼生産能力は世界でも有数の規模になりました。
2026年3月期は、買収に伴う影響などで当期利益が約172億円と、前の期から95.1%減りました。2027年3月期は約2,900億円を見込み、年間配当は24円の予定です。この記事では、配当が減った経緯と今後の見通しを整理します。
日本製鉄
高配当株スコアシート|2026年3月期の決算まで反映
株価(2026/10/16 終値)
643.5円
+2.5(+0.39%) 時価総額 3.46兆円
配当利回り(予)
3.73%
1株配当 24円(2027年3月期 会社予想)
PER(予)
11.60倍
過去10年 約3.1〜175.6倍
PBR(実)
0.61倍
過去10年 約0.3〜0.9倍
配当性向(予)
43.3%
2027年3月期 会社予想(当サイト算出)
ROE(予)
5.24%
予想EPS ÷ 直近BPS
営業利益率(前期)
2.4%
2026年3月期
自己資本比率
37.7%
2026年3月期
配当の記録
0期減配なし
10年の減配 3回
日本製鉄の株主優待
3月末・9月末に5,000株以上を持つ株主を、製鉄所の工場見学会に招待(年2回案内)
| 保有株式数 | 5,000株以上(株式分割前は1,000株以上) |
|---|---|
| 基準日 | 毎年3月末・9月末 |
| 内容 | 工場見学会へのご招待(時期は3から4月頃と10から11月頃) |
※公式ページによると、2026年3月末基準から見学会の招待枠を広げ、経営概況説明会・鹿島アントラーズ観戦・紀尾井ホール演奏会の招待は廃止されました。実施状況により、見学会が見送られる場合があります。金額に換算できる優待ではありません。
データ: IR BANK・株探・Yahoo!ファイナンス(取得 2026/10/17、株価は毎営業日更新)。PER・配当利回りは会社予想、PBR は直近の決算の BPS で計算。
日本製鉄はどんな会社?【事業内容】
鉄鋼の製造・販売が中心で、自動車、建築、エネルギー、インフラなど幅広い産業に鋼材を供給しています。製鉄のほかに、エンジニアリングなどのセグメントもあります。
2026年3月期の決算短信によると、売上収益は10兆632億円(前期比15.7%増)で、U.S. Steelが加わったことが主な増収要因です。製鉄のセグメント利益は4,399億円で、前期より29.2%減りました。
世界的な製造業・建設業の需要の弱さや、中国からの安い鋼材の輸出増加が、業績の逆風として報じられています。
ひと目でわかる強みと注意点
ここが強み
- 国内最大手の鉄鋼メーカーで、U.S. Steelの買収により世界的な規模になった
- 2027年3月期は利益の大幅な回復を見込み、通期予想を上方修正した
- 下限配当24円を導入し、配当の下支えがある
ここに注意
- 当期利益が3年続けて減少し、2026年3月期は配当も減らした
- 買収の影響で、自己資本比率が37.7%に下がった
- 世界的な鉄鋼の需要の弱さと、中国からの安い鋼材の輸出が逆風
10年の推移チャート
株価は各決算期末の終値(分割調整済み)。最後の列は今期の会社予想と現在の株価。
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| 年度 | 1株配当(円) | PER(倍) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 9 | 17.34 |
| 2018/03 | 14 | 11.40 |
| 2019/03 | 16 | 6.94 |
| 2020/03 | 2 | — |
| 2021/03 | 2 | — |
| 2022/03 | 32 | 3.14 |
| 2023/03 | 36 | 4.14 |
| 2024/03 | 32 | 6.15 |
| 2025/03 | 32 | 9.11 |
| 2026/03 | 24 | 175.58 |
| 今期予 | 24予 | 11.60 |
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| 年度 | 株価(円) |
|---|---|
| 2017/03 | 513 |
| 2018/03 | 467 |
| 2019/03 | 391 |
| 2020/03 | 185 |
| 2021/03 | 377 |
| 2022/03 | 434 |
| 2023/03 | 624 |
| 2024/03 | 734 |
| 2025/03 | 639 |
| 2026/03 | 576 |
| 今期予 | 644予 |
配当利回りは各決算期末の株価で計算。
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| 年度 | 配当性向(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 30.40 | 1.75 |
| 2018/03 | 34.20 | 3.00 |
| 2019/03 | 28.40 | 4.09 |
| 2020/03 | — | 1.08 |
| 2021/03 | — | 0.53 |
| 2022/03 | 23.10 | 7.37 |
| 2023/03 | 23.90 | 5.77 |
| 2024/03 | 26.80 | 4.36 |
| 2025/03 | 45.60 | 5.01 |
| 2026/03 | — | 4.17 |
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| 年度 | EPS(円) | 営業利益率(%) | ROE(%) |
|---|---|---|---|
| 2017/03 | 29.59 | 2.47 | 4.99 |
| 2018/03 | 40.98 | 5.05 | 5.76 |
| 2019/03 | 56.35 | 4.29 | 7.77 |
| 2020/03 | -93.75 | -6.86 | — |
| 2021/03 | -7.04 | 0.24 | — |
| 2022/03 | 138 | 12.35 | 18.38 |
| 2023/03 | 151 | 11.08 | 16.60 |
| 2024/03 | 119 | 8.78 | 11.50 |
| 2025/03 | 70.18 | 6.30 | 6.51 |
| 2026/03 | 3.28 | 2.41 | 0.31 |
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| 年度 | 売上高(円) | 営業利益(円) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 4.63兆円 | 1,142億円 |
| 2018/03 | 5.71兆円 | 2,887億円 |
| 2019/03 | 6.18兆円 | 2,651億円 |
| 2020/03 | 5.92兆円 | -4,061億円 |
| 2021/03 | 4.83兆円 | 114億円 |
| 2022/03 | 6.81兆円 | 8,409億円 |
| 2023/03 | 7.98兆円 | 8,836億円 |
| 2024/03 | 8.87兆円 | 7,787億円 |
| 2025/03 | 8.7兆円 | 5,480億円 |
| 2026/03 | 10.1兆円 | 2,429億円 |
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| 年度 | BPS(円) | 自己資本比率(%) |
|---|---|---|
| 2017/03 | 595 | 40.60 |
| 2018/03 | 711 | 40.40 |
| 2019/03 | 702 | 40.10 |
| 2020/03 | 574 | 35.50 |
| 2021/03 | 600 | 36.40 |
| 2022/03 | 753 | 39.60 |
| 2023/03 | 908 | 43.70 |
| 2024/03 | 1,037 | 44.60 |
| 2025/03 | 1,030 | 49.20 |
| 2026/03 | 1,058 | 37.70 |
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| 年度 | 営業CF(円) | 投資CF(円) | フリーCF(円) |
|---|---|---|---|
| 2017/03 | 4,800億円 | -3,400億円 | 1,400億円 |
| 2018/03 | 4,900億円 | -3,600億円 | 1,200億円 |
| 2019/03 | 4,500億円 | -3,800億円 | 700億円 |
| 2020/03 | 4,900億円 | -3,500億円 | 1,500億円 |
| 2021/03 | 4,000億円 | -3,900億円 | 100億円 |
| 2022/03 | 6,200億円 | -3,800億円 | 2,400億円 |
| 2023/03 | 6,600億円 | -3,700億円 | 2,900億円 |
| 2024/03 | 1.01兆円 | -7,100億円 | 3,000億円 |
| 2025/03 | 9,800億円 | -4,600億円 | 5,200億円 |
| 2026/03 | 7,200億円 | -2.84兆円 | -2.12兆円 |
出典: IR BANK(決算短信・有価証券報告書のデータ)・Yahoo!ファイナンス。配当は分割を調整した値。
日本製鉄(5401)の総合評価
業績・財務・キャッシュフロー
銘柄データでは、当期利益は2022年3月期が約6,373億円、2023年3月期が約6,940億円、2024年3月期が約5,494億円、2025年3月期が約3,502億円、2026年3月期が約172億円と、3年続けて大きく減っています。
2026年3月期のフリーキャッシュフローは、マイナス約2.12兆円でした。U.S. Steelの買収の代金が投資に含まれたためとみられます。自己資本比率(会社の資産のうち自分のお金の割合)は、2025年3月期の49.2%から、2026年3月期は37.7%に下がりました。
2027年3月期の第1四半期は、事業利益が1,455億円(前年同期比58.1%増)でした。通期の業績予想も上方修正され、当期利益は約2,900億円の予想です。U.S. Steelの利益が本格的に加わるかが焦点です。
割安性(PER・PBR・MIX係数)
現在の株価・PER・PBR・MIX係数(PER×PBR。数字が小さいほど割安とされる目安)は、記事上部のスコアシートを参照してください。
過去の年度末の値では、PBRは0.32倍から0.86倍の間で、1倍を大きく下回る年が続いています。一方で、2026年3月期のPERは利益が小さかったため175.58倍と、通常の見方ができない数字でした。
利益が大きく動く会社のため、PERだけでなくPBRや、数年分の利益の平均で見る方法が向いています。
配当・株主還元
年間配当は、2022年3月期の32円から2023年3月期の36円まで増えましたが、2024年3月期は32円、2025年3月期は32円、2026年3月期は24円へ減りました(2025年10月の1対5の株式分割を調整した値)。銘柄データでは、連続増配・減配なしの年数は0年です。
公式ページによると、連結配当性向を年間30%程度とする目安は続けつつ、2030中長期経営計画(2026から2030年度)で、下限配当として24円を導入しました。2026年度の年間配当は24円(うち中間12円)の予定です。
株主優待は、5,000株以上(分割前の1,000株以上)を持つ株主への工場見学会の招待があります。詳しくは優待欄を見てください。
株主還元方針(会社の発表から)
連結配当性向30%程度を目安とし、2030中長期経営計画で下限配当24円を導入(2026年度の年間配当は24円の予定)
注意点・リスク
鉄鋼は市況と需要に左右されやすく、世界の景気や、中国の輸出の動きなどで、利益が大きく動きます。
U.S. Steelの買収で、財務の負担が増え、自己資本比率が下がりました。買収の効果が出るまでの間は、財務の安定度を確認したいところです。
下限配当24円は、増配を約束するものではありません。2026年3月期は、配当24円に対してEPS(1株利益)が3.28円で、配当性向は約730%と、利益を大きく上回る配当でした。
同業他社との比較
| 銘柄 | 配当利回り | PER | PBR | ROE | 自己資本比率 | スコア |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本製鉄(5401) | 3.73% | 11.6倍 | 0.61倍 | 5.2% | 37.7% | B 53 |
| JFEホールディングス(5411) | 4.65% | 7.3倍 | 0.42倍 | 5.7% | — | C 48 |
| 神戸製鋼所(5406) | 3.97% | 8.0倍 | 0.63倍 | 7.9% | 44.0% | B 60 |
| 大同特殊鋼(5471) | 2.24% | 16.9倍 | 0.98倍 | 5.8% | 55.2% | B 56 |
PER・配当利回りは会社予想、ROE は予想 EPS ÷ 直近 BPS(サイトに記事のない銘柄は直近の実績)。スコアは記事のある銘柄だけ。同業のごく一部との比較です。
配当シミュレーション
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初期値の増配率は過去5年の1株配当の伸び(年率10%、上限10%)。過去10年に3回の減配があります。税金(約20%)は引いた手取りで計算し、株価は変わらないものとします。将来の配当を約束するものではありません。
決算でチェックしたいポイント
- U.S. Steelの利益が、予想どおり上乗せされているか
- 自己資本比率と財務の推移
- 世界の鋼材市況と、中国の鋼材輸出の動き
次の決算発表予定: 2026年11月5日(株探より)
日本製鉄のよくある質問
Q日本製鉄に株主優待はありますか。
あります。3月末・9月末に5,000株以上を持つ株主を、製鉄所の工場見学会に招待する内容です。2026年3月末基準から、ほかの招待(説明会、観戦、演奏会)は廃止されています。
Q配当が減ったのはなぜですか。
2026年3月期は当期利益が約172億円と大きく減ったためです。年間配当は24円(株式分割調整後)で、前の期の32円から減りました。
Q下限配当とは何ですか。
2030中長期経営計画で導入された、配当の下限額です。日本製鉄は1株24円としています。
Q連続増配の年数は。
銘柄データで数えると、直近は減配のため0年です。2024年3月期、2026年3月期に前の期より減っています。
くろこの視点
日本製鉄は、U.S. Steelの買収という大きな転換点のなかにいます。2026年3月期は利益と配当が大きく減りましたが、2027年3月期は第1四半期から回復の動きが出ています。
一方で、財務の負担が増え、鉄鋼の需要の弱さも続いています。配当は下限24円が保たれる計画ですが、増配を約束する方針ではない点を押さえておく必要があります。優待も5,000株以上と、必要な資金が大きい条件です。
次の決算で、U.S. Steelの利益貢献と、財務の推移を確認したいと思います。最終的な判断はご自身でお願いします。
